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2億8900万年前のミイラ化爬虫類が示す陸上呼吸の起源

発見と保存状態
Nature誌に掲載された研究で、初期ペルム紀(約2億8900万年前)に生息していた小型トカゲ様爬虫類Captorhinus agutiの化石が、驚異的な保存状態で報告されました。全長は数インチ程度で、骨だけでなく三次元の皮膚や石灰化した軟骨、さらにはタンパク質の痕跡まで残っています。このタンパク質は、従来の化石で確認されたものより約1億年古く、最も古い例となります。
発掘場所と環境条件
化石はオクラホマ州リチャード・スパー付近の洞窟系統で発見されました。この地点は既に多様な陸生脊椎動物の化石が豊富に出土していることで知られ、油層由来の炭化水素と酸素欠乏の泥が骨や柔らかな組織を保護したため、極めて稀な保存状態が実現しました。
高精度スキャンによる内部観察
オーストラリアの専門施設で中性子コンピュータ断層撮影(nCT)を用いて非破壊的に解析した結果、岩石の下に隠れた細部が明らかになりました。研究者のイーサン・ムーニー氏は、骨を取り巻く薄いテクスチャーの皮膚構造を確認し、胴体から首にかけてアコーディオン状の鱗模様が広がっていることを報告しています。この鱗は現代の小型掘削トカゲに似ています。
肋骨ベースの呼吸システムの再構築
リチャード・スパーで得られた3体のCaptorhinus標本を比較検証することで、肋骨と肩帯の連結構造が明らかになりました。これにより、肋骨間の筋肉が胸腔を拡張・収縮させて空気を肺へ引き込む「肋骨補助呼吸」の痕跡が初めて直接確認できました。これは、以前の両生類が皮膚呼吸や口腔・喉の動きで空気を送っていた方式とは対照的で、より深い効率的な呼吸を可能にします。
古代タンパク質の意義
シンクロトロン赤外分光法により、骨・軟骨・皮膚内に残存するタンパク質の痕跡が検出されました。これらは既知の恐竜化石で確認されたタンパク質より約1億年古く、軟部組織の保存限界を大幅に押し上げる成果です。
進化への影響と今後の展望
肋骨を利用した呼吸は、早期爬虫類が活動的な生活様式を取る上で重要な革新であり、その後の爬虫類・鳥類・哺乳類に共通する呼吸様式の祖先形態と考えられます。現在、この化石はトロントのロイヤルオンタリオ博物館に所蔵され、さらなる研究が続けられる予定です。
元記事: https://www.sciencedaily.com/releases/2026/04/260422044626.htm